中国のハリウッド『横店影視城』を訪れて

2025年8月1日号 /

中国浙江省東陽市にある「横店影視城」は、世界最大規模の撮影所で「中国の好莱坞(ハリウッド)」と呼ばれています。秦の始皇帝時代から唐代、宋代、明代、清代そして近代の広東香港の町並みまで細部にこだわり、リアルに再現しています。

横店影視城の「秦王宮」
香港広州地区の夜景

近年は中国ドラマの魅力にすっかりはまったことから、「一度は訪れたい」という希望を抱いていました。ここでは多くの映画やドラマが撮影されており、北京の紫禁城なども原寸大で再現されています。建物の中で俳優さんらが撮影している様子が目に浮かんでくるほどです。

明清時代のドラマによく出てくる
赤い壁が印象的な撮影場所

ただ、大がかりな撮影の際には入場できません。広大な中国大陸では上海から横店まで遠くはありませんが、交通の便がかなり悪いため、行ったことのある日本人は少なく、海外では観光地としてはまだまだ認知度が低いと感じられました。そのため、SNSでも情報が少ないです。

まず、関西空港から杭州簫山空港まで直行便で向かい、杭州空港から1時間地下鉄に乗り杭州西駅へ、そこから高速鉄道に乗って横店駅へと向かいました。駅からはタクシーで約30分。昨年夏に開通した横店駅のおかげで、これまでと比べてずいぶんと行きやすくなっています。

日本人にとって、中国旅行は言語や交通手段、現金以外の支払い方法など事前の準備が必要で、面倒に感じることが多々あります。事前にスマホに支付宝(アリペイ)や高鉄予約アプリをダウンロードしておくことが重要です。これらのアプリにパスポート情報を入力しておくと、鉄道チケットの購入や乗車がスムーズにできます。

今回、横店影視城には5月12日から3泊で訪れ、「明清宮苑」近くのホテルを予約しました。朝食付き四つ星ホテルのツインルームに二人で3泊し2万8千円と、中国の大都市と比べると安価でお得に宿泊することができました。周辺には飲食店も多く、美味しくて安い地元料理を楽しみました。

影視城は時代別にエリアが分かれており、「秦王宮」「清明上河図」「明清宮苑」「円明園」「広東香港街」を見学しました。各撮影所では、その時代の衣装を借りてコスプレ体験ができます。衣装は種類が豊富で、本格的で重みがあり、本物感が半端なく、どこで撮影しても映画のワンシーンのようです。

秦王宮」の樊楼はんろう
(北宋時代の都・開封にあった高級料理店のこと)

「明清宮苑」は北京の紫禁城を忠実に再現しており、スケールの大きさに圧倒されました。北京の紫禁城と比較しても、まさに本物そのものです。どの場所も華流ドラマのワンシーンが蘇ってきます。本物の紫禁城との大きな違いは、見学者が少なく、気球に乗って全景を上空から眺められることです。

気球に乗って、紫禁城を空から撮影!

そのほかに、戦争で破壊された「円明園」が再現されていて、北京では見ることが出来ない文化遺産にも触れることができました。「広東香港街」では昔の香港に迷い込んでしまったようなレトロな雰囲気が広がり、上海の外灘も本物そっくりで驚きました。

再現された「円明園」
(清朝最盛期、北京に造られた西洋式庭園)

有名俳優の手形などもあり、所々で大がかりな皇帝の結婚式の再現や馬上の戦いが見られ、舞台ショーもあり、歴史の中に入り込んだかのような体験ができます。中国の歴史や映画・ドラマが好きな方には、憧れの場所ではないでしょうか。

(和歌山県日中友好協会女性部長 津田美起子)

煌びやかな衣装をつけて、写真撮影
玉座に座れば、気分はすっかり皇后です!