遊びが文化をもたらす

2021年1月1日号 /

お正月の遊び

お正月についてはところどころで触れてきた。時代は大きく変わっているが、お正月の遊びは、子供も大人も心に残るものがある。

日本のお正月遊びの定番は、羽根つき、凧揚げにかるただろう。羽根つきはもともと中国の遊びで、室町時代に日本に伝わり、江戸時代には、年末に邪気を祓うための羽子板を贈るようになった。

ポルトガル語起源の「かるた」は「百人一首かるた」(百人の歌人の和歌からなる)や「いろはかるた」(ことわざからなる)などがあるが、全国大会も開催されるほど、非常に盛んである。凧揚げは、春先の穏やかな小春日和にはもってこいの屋外遊びである。

中国の正月の遊び

中国では、旧正月の「春節」には長い休暇があり、昔はもっと大々的に祝われ、定番の大掛かりな行事の獅子舞や竜舞などは別として、様々な遊びができた。羽根つきは1年中遊べるが、記憶の中では、羽子(はご)を作る材料がそろわないため、普段はそれほど盛んではなかった。

しかし、春節が近づくと、家々ではお正月を迎えるために鶏を絞めるので、きれいな羽根がもらえる。羽子作成の羽根には、長くてきれいな雄鶏の羽根が用いられる。姉たちは待ちに待った羽根が手に入ると、羽子を作りはじめる。

硬貨を包む布の縫製は一仕事らしい。硬貨をしっかり包むと、その上に羽根を挿すための管を付ける。管も上手に縫い付けないと、羽根がしっかり束ねられず、揺らいでしまうことがある。

きれいな羽子ができ上がると、女の子たちは外へ出て小さな空き地に集まり、足で蹴って遊ぶ。一人でも数人でもでき、男の子も加わるが、主に女の子の遊びだった。

男の子の遊びは、何といってもやはり爆竹であった。普段の小遣いを節約して、春節に爆竹を買う。爆竹はただ鳴らすだけではなく、様々な形に改造して楽しむ。例えば、小さい爆竹を真ん中で折って、2つを><状に並べ、真ん中に火をつけると、お互いにラケットのように飛び回る。さらに数を増やしていくと、花のようにきれいな形になったりする(マネは禁止よ)。

一時、中国では、遊びは腐敗した階級の生活の一環とされた。しかし、今や日本発祥のゲームは中国を含む世界を風靡している。オランダの歴史家ホイジンガが「遊びが人間の文化をもたらした」と言っているが、人間の文化をもたらした遊びをもっと大事にしていきたいものである。

(しょく・さんぎ 東洋大学元教授)