「自信」明石愛理(華東師範大学)

日中友好協会の公費留学生に志願しようと決めた1年半前、2019年11月。当時の私は、とにかく自分に自信の持てない消極的な学生であった。大学4回生を目前に控え、卒業と就職活動への不安から、漠然とした焦りに駆られていた。自分が就職活動において周囲に遅れをとっている事、自分に抜きんでて秀でた点がない事を自覚していたからだ。そうして自信を失った私は、自ら行動する事を恐れ、行動しない理由を探し回る日々を過ごしていた。中国への留学を志した動機の片隅には、そう言った不安から目を背けたいと思う気持ちがあったのかもしれない。中国語を扱えるようになれば、自分に自信が持てるようになるだろう、そんな考えから公費留学生を目指したのだ。

決意した段階で既に11月。公費留学生の応募書類締め切りは12月、選考面接は1月。私には時間がなかった。締め切りまで時間がない事が、私に火をつけた。何を考えたか私は、日中友好協会宛に、「留学をしたいのですが」と言った内容のメールを送りつけたのだ。一度決意したのだから諦めたくないと、なりふり構わない私がそこにはいた。

メールを送った2日後。私は、京都府日中友好協会副会長のSさんと顔を合わせ、12月の北京訪中団への参加をその場で決意し、さらには、京都府日中友好協会青年会のIさんに留学の相談を聞いていただくまでになっていた。消極的だった今までの私からは考えられないスピード感である。自分なりに全力を尽くし、留学を目指していた当時の私が出会ったのは、私を応援し、力となってくださる人ばかりであった。

そして現在、1年間の留学を終えて気がついた事は、1年半前に想像していたような完璧な中国語は習得できなかったという事だ。今の私の現状は、中国語が少し喋られる程度の語学力なのである。しかし、中国語を完璧に喋られるようにならなかったから、1年半前の自分と同じように自分に自信がないのかと言われれば、そうではない。留学前の私は、語学力を身につける事こそが自信につながるのだと、盲信していた。しかし、今の私を支える自信は、なりふり構わず行動し、留学を目指した当時の私が作り上げたものだ。自分を卑下し悲観的に捉えるのではなく、持ち合わせた能力・条件の中でも精一杯を尽くした当時の私の行動が、今の私の自信につながっているのである。

1年半前の自分と同じ思考だったら、1年間の留学課程を全てオンラインで終えるという選択をしたことに後悔の念しか抱かなかっただろう。当時の私は、現地へ留学し身につけた語学力こそが自分の唯一の武器になると信じていたからだ。

しかし結果として私は、1年間の留学課程を全てオンラインで終えるという選択をした。今の私は、語学力ではなく、私が1年間真剣に中国語と向き合ったという課程を大切に考えているからだ。オンラインだからと悲観的に考える事なく、留学を決意してからの1年半をがむしゃらに走り続けてきた課程は、必ずこれからの自分の自信になると信じているのだ。