「杭州、中心地から離れると」酒巻大雅(浙江大学)

先月のレポートでは、杭州の代表的な景勝地である西湖や、自然豊かな千島湖について紹介しました。実際に杭州で生活していると、こうした美しい自然環境が身近にあることに、この街の大きな魅力を感じます。しかし、杭州の魅力はそれだけではありません。今回は、前回の「豊富な自然」とは少し違い、「分厚い歴史」という視点から、臨安と良渚について紹介したいと思います。

まず、臨安は杭州市西部に位置する地域で、豊かな山々や森林に囲まれた自然あふれる場所です。杭州中心部は都市として非常に発展していますが、地下鉄で十数分移動するだけで、このような落ち着いた風景が広がっていることに驚かされます。実際に訪れてみると、都会の賑やかさとは異なるゆったりとした空気が流れており、杭州という街の多様さを思い知らされます。

また、「臨安」という名前には歴史的な意味があります。南宋時代、現在の杭州は「臨安」と呼ばれ、都として栄えていました。現在の杭州には高層ビルやIT企業が多く立ち並び、中国の先進都市という印象がありますが、その一方で、長い歴史を持つ古都でもあります。厳密には、私が訪れた杭州西部の臨安と王都「臨安」は位置がまったく違いますが、そこから名前を取っていることは事実で、臨安中心部には南宋時代の杭州を紹介する博物館や史蹟、模擬寺などが点在しています。

杭州市北部には良渚という有名な遺跡があります。良渚遺跡は、中国文明の起源を考える上で非常に重要な場所として知られており、世界遺産にも登録されています。実際に関連施設を見学した際には、中国には数千年前から高度な文明が存在していたことを強く実感しました。

特に印象的だったのは、自分の中で「中国文明=黄河文明」というイメージが強かったため、長江流域にもこれほど発展した文明が存在していたことに驚いたことです。杭州で生活していると、中国の歴史や文化についての新しい発見が多くあります。歴史専攻でなくとも、杭州に身を置けばいつの間にか中国史の魅力に引き込まれることでしょう。良渚を訪れた経験も、その一つでした。

このように、杭州には西湖や千島湖のような有名な景勝地だけでなく、臨安や良渚のような中国の古き良き歴史、文化を深く感じられる場所も数多くあります。これまで様々な中国の都市や村に遊びに行きましたが、身近な杭州もまだまだ冒険の余地があるんだと、日々思い知らされます。

臨安博物館2階から撮った写真。博物館の展示だけでなく周りの自然環境も素敵で、中国の「魅せ方」には毎回脱帽。

臨安博物館近くの模擬寺。RC造りの寺のため現存の寺よりは見劣りするが、寺の中身をくり抜いて資料館のように市民に開放している。

良渚博物院。この博物院も大自然の中に建てられているため、ここを訪れる人々は博物館目当てだけでなく公園でキャンプしたり池で釣りを楽しんだりとしていて、自由でゆったりとした素敵な雰囲気があった。