「留学中に出会った面白くて不思議な出来事」森田琴美(復旦大学)

中国で暮らしていると、日頃から日本では起こり得ないようなことがたくさん起きます。
中国人の多くは、頼み事に対する抵抗があまりなく、困っていることを伝えると、想像以上に対応してくれることもあります。

特に印象に残っているのは、1月・2月の冬休みに、中国大陸を西へ横断する一人旅をしたときのことです。青海省に滞在していた際、ツアーを申し込んでいなかったことや、「顺风车」と呼ばれるライドシェアのようなものも直前になって見つからず、移動手段を完全に失ってしまいました。

中国の都市部ではない場所に、外国人の私一人が取り残されてしまったのですが、西寧の空港からホテルまで運転してくれたタクシー運転手の方に事情を説明し、WeChatを交換しました。ダメ元で、ここに滞在する三日間、専属のドライバーになってくれないかと頼んでみたところ、快く引き受けてくれました。

最初の二日間は、もともと行きたいと思っていた観光地を回ってくれて、最終日にはネットではあまり出てこないような、地元の人だからこそ知っている山間部の絶景にも連れて行ってくれました。三日間の総移動距離は1000キロを軽く超えていましたが、格安の料金で案内してくれたうえ、ガイドのような役割もしてくれました。

「夏はもっと景色が綺麗だから、親友や家族を連れてきて。そのときも運転するよ」と言ってくれたことが、今でも印象に残っています。

また、春節の時期には新年の挨拶を送ってくれたりと、ふとした出会いが私の旅行を最高のものにしてくれただけでなく、その後も続く縁になりました。こうした関わりは、気軽な助け合いが文化として根付いている中国だからこそ起こるものなのだと思います。

私自身も本来であれば、初対面の人に専属のドライバーを頼むようなことはできなかったと思います。しかし、なんとなくそういうことが許される雰囲気が中国にはあるからこそ、言い出すことができたのだと思います。

郷に入っては郷に従えという言葉がありますが、異文化に触れることで、自然と自分の行動や言動にも変化が起こるのだと発見することのできた出来事の一つでもあります。

青海省で見ることのできた景色の数々。何度か車内で爆睡しましたが写真映えするようなところや羊が大量に遊牧されているところを通るタイミングで起こしてくれて助かりました。