先日Xを眺めている時、ある投稿が目に留まった。それは福岡市長選に関する投稿で、中国の大学で修士課程を修了した候補者に対して、「中国と関係があった人物は、政治に入れない方が良い」という内容だった。2万を超えるいいね、「工作員」、「スパイ」、「福岡市民は騙されるな」で溢れかえる返信や引用。中国の大学で、いち学生として留学したところで中国政治に関わることができるわけでもない、そして候補者の卒業後の就職先も中国と全く関係がない。それにも関わらず中国留学をしていたという事実だけが切り取られ、スパイだと一直線に結び付けられ、候補者の主張に見向きもされていないことに愕然とし憤りさえ覚えた。
他者の見方と自分の見方には大きな差異がある。これは北京大学国際関係学院の授業の中でも感じることがあった。5月に北京で行われた米中首脳会談をめぐる授業内の教授の発言だった。「中国は、アメリカに戦略的安定関係を打ち出し、対等な関係を実現した。大きな成果があった。」と評価したのだ。私は大きな違和感を抱いた。日本の新聞を通じて「両国、大きな成果を得られることができなかった」と認識していたからだ。
縁あって日本の新聞社の中国総局を尋ねる機会があったため、私が感じた違和感を話すと、解釈が違う原因は3つの立場によるものだと教えてもらった。一つ目は、主催国であり北京大学の教授の立場、二つ目は、情報収集における日本の記者の立場、三つめは日本の読者を顧客とする日本の記者の立場。聞いたとき、私は自分自身の原因分析の狭さを痛感した。「国の考え方が違う」だけで止まっていたのだ。原因を考える上で記者の視点を初めて認識でき、異なった見方をすることができた。
解釈の違いの原因を考えることは、冒頭に述べたXの投稿にもつながる。溝を放置するのではなく、考えの違いに至った原因をさぐることでこそ溝の解消につながる。しかし、原因を考える際、視点の幅を持たせることは、自分ひとりではできない。様々な人と関わり、様々な立場の意見を聞くこと、そしてその立場を想像し理解しようとすることが重要だと改めて認識した。
北京に来て3週間。北京大学国際関係学院での授業が開始して2週間。今まで生活に慣れるまでは、と主に日本人と過ごしてきた。これからはもっと現地の中国人と交流し様々な人と関わりたい。サークルの新歓が開始したため、まずは日中交流のサークルと、中高6年間取り組んできた剣道のサークルの二つに所属することにした。考えの違いは当然発生するだろう。関わる人の幅を広げ、新たな視点を獲得していきたい。




