上海交通大学での一年間の留学が、ついに終わりを迎えました。中国政府奨学金留学生に選ばれ、憧れだった中国の地に立ったときの高揚感は、今でも忘れられません。この一年、私は「言葉を学ぶだけの留学」で終わらせたくないという思いから、中国の人々や文化に自ら飛び込み、日中の懸け橋になることを目指して過ごしてきました。
中国人学生との交流で縮まった心の距離
留学当初、私は中国人学生の輪の中で萎縮してしまい、思うように発言できませんでした。それでも「毎回必ず自分から発言する」と決めて週3回の語学交流会に通い続けるうちに、少しずつお互いの言葉や価値観が理解できるようになり、気づけば本音を語り合える友人がたくさんできていました。この積み重ねは半年でのHSK6級取得にもつながり、何より「言葉は人と深くつながるための手段なのだ」という実感を私に残してくれました。
多彩な中国文化との出会い
中国文化に直接触れられたことも、かけがえのない財産です。もともと大好きだった中国映画は、授業で作品を鑑賞しながら、その背景にある社会や人々の価値観まで深く理解できるようになりました。民俗の授業では中国各地の風習を学び、一歩街に出れば、日本にはないスピード感の文化を肌で体感しました。教科書の中だけでなく、日々の暮らしの中で生きた中国文化に触れられたことは、留学ならではの貴重な経験でした。
中国の多様さを体感した四川・重慶への旅
留学中は、ハルビンや北京、香港、四川、重慶など、中国各地へ旅行に出かけました。なかでも印象に残っているのが、四川省と重慶市です。同じ「辛い」料理で知られる二つの地域ですが、四川料理が花椒の痺れる辛さ(麻辣)を特徴とするのに対し、重慶では火鍋文化が色濃く、食べ方そのものに地域性が宿っていることを肌で感じました。地形も、平野が広がる四川と、山と川のあいだに街が立体的に積み重なる重慶とでは大きく異なり、上海ともまた違う表情に驚かされました。教室で学んだ「中国の多様性」を、旅を通じて五感で実感できた、忘れられない経験です。
駐在員の方々との出会い
留学の後半には、現地で活躍する日本人駐在員の方々との人脈づくりにも挑戦しました。人脈ゼロの状態から、教授にご紹介いただいたり、大学の同窓会に自ら足を運んだりと動き続け、最終的に40名以上の駐在員の方々との対話と、4社の企業訪問を実現しました。突然連絡した学生の私に対して、どなたも驚くほど温かく接してくださり、お忙しい中で時間を割いて、ご自身の仕事や海外で働くやりがい、これまでの人生の選択について惜しみなく語ってくださいました。
異国の地で挑戦を続ける先輩方の生き方に触れる中で、私の視野は大きく広がっていきました。中でも忘れられないのが、ある駐在員の方からいただいた「語学は手段に過ぎない。それを使って何を成し遂げるかが大事だ」という言葉です。語学の習得そのものを目的にしていた私にとって、この一言は自分のこれからの生き方を見つめ直す大きなきっかけとなりました。数えきれない出会いと対話を通じて、私の人生観そのものが確かに変わったと感じています。
留学を通して得たもの
この一年を振り返って強く実感するのは、「自分から動けば、国や言葉の壁は必ず越えられる」ということです。中国の人々と深く交流し、その文化を体験し、日中双方の視点を持てたこの一年は、これからの私にとってかけがえのない土台になりました。留学で培ったすべてを胸に、日本と中国の懸け橋となれるよう、これからの挑戦に活かしていきたいと思います。




