二年前、留学申請に必要だった学習計画書や小論文を作成していた場所で、七月レポートとこの後半レポートを書いていると、上海で過ごした11か月は夢だったのではないかと思うことがある。しかし、それをすぐに否定できるほどの充実感と達成感が今もなお残っていることも事実である。本レポートでは、留学前に作成した学習計画書と留学生活を振り返りながら、この11か月で得た成果についてまとめたい。
留学前に立てた目標は、「中国語運用能力の向上」「中国に対する知識のアップグレード」「帰国後の進路を考える」の三点であった。
まず、中国語運用能力の向上については、特に留学後半で大きな成長を実感した。後半学期から上級クラスに進級し、授業内容だけでなく、クラスメイトとの会話のレベルも一段と高くなった。前学期には授業で学ぶだけで実際の会話では使えなかった単語や文法を、友人たちが自然に使いこなしている様子を見て、帰宅後に前学期の教科書を見返すこともあった。
そして、今学期最も意識したのは声調である。前学期は、中国語で中国語を学び、会話を成立させるだけで精一杯だった。しかし、クラスメイトの正確で聞き取りやすい発音や、口語の先生から繰り返し言われた「上級クラスの学生なのだから、適当に発音するのはやめなさい。正確な声調を意識しなさい。」という言葉を受け、自分の発音を改善する必要性を強く感じた。それ以来、教科書の音声を繰り返しシャドーイングすることを意識して取り組んだ。
その成果を実感したのは、中国人の友人から聞き返されることが明らかに減ったと気付いた時である。
昨年10月と今年5月の二度、一人の友人と会う機会があった。初めて会った昨年10月には、「先生の話す中国語も十分に聞き取れない自分が、なぜ彼女の話だけは理解できるのだろう」と不思議に思っていたが、後になり、彼女が私に合わせてゆっくり話してくれていたことに気付いた。
そして今年5月に再会した際には、以前より話す速度が速くなっているにもかかわらず、自然に会話についていける自分に気付いた。同時に、彼女から「中国語が本当に上達したね。前回よりもたくさん話せるようになっている。」と言ってもらえた。
自分の中国語能力の変化を長い時間軸で見守り、客観的に評価してくれる人は多くない。また、中国語を学ぶきっかけとなったコンテンツを通じて知り合った彼女からそのような言葉をもらえたことは、私にとって大きな自信と嬉しさにつながった。
次に、中国に対する知識のアップグレードについてである。中国人の友人と旅行に出かけたり、微信のグループチャットでやり取りを見たり、時には会話に参加したりする中で、日本との意外な共通点や違いを実感することができた。大学の卒業論文で扱った「中国の同世代」に対する理解も、留学を通してさらに深まったと感じている。
卒業論文では、「中国では小学校から始まる道徳教育が自己肯定感の形成につながっており、バラエティー番組やオーディション番組などでも自分を愛することが比較的強調されている。そのため、中国の若者は日本の若者より自己肯定感が高い傾向にある」という内容を論じた。
しかし、実際に友人たちと交流する中で、中国の若者も中国社会ならではの課題や悩みを抱え、それらと向き合いながら生活していることを知った。その結果、私が卒業論文でまとめた内容だけでは捉えきれない現実があることを実感し、自分の理解がより多面的なものへと更新された。
帰国後の進路については、七月レポートにも記したように、今後も日中友好に携わることのできる活動や仕事に関わりたいと考えている。特に、日本人に向けて、自身の経験を通して知った中国の魅力や実際の姿を伝えられるような活動に取り組んでいきたい。
最後に、この留学を通して最も強く実感したのは、人の温かさである。
まだ人に話しかけることに慣れていなかった頃、積極的に声をかけてくれた友人たち、私を外国人ではなく一人の友人として自然に接してくれた人たち、そして携帯回線がつながらず地下鉄に乗れず困っていた時、拙い中国語にもかかわらず快く助けてくれた帰宅途中の見知らぬ方など、思い返せば、そのような温かい出来事は数え切れない。
留学生活で受け取った数多くの親切や優しさを、今度は自分が誰かに返していきたい。その思いこそが、この11か月で得た最も大きな財産であり、これからの私の行動の指針になると考えている。






