
5月から晴れて1人でステージデビュー
変面師
蟹江真行さん
名古屋市在住、私立高校2年。同市などで構成するナゴヤ・パフォーマー事業実行委員会認定のナゴヤ・ポップアップアーティスト。黒川伊吹の名でサックスホーン奏者としての活動にも力を入れている。
6歳の時見た変面
「僕もやりたい!」
6歳の時、家族と訪れたショッピングモールで、初めて中国の雑技団の変面ショーを見た。すごいインパクトで、その感激は今も鮮明。「僕もやりたい!」と、ユーチューブを見て真似するようになった。顔は変えられないけど、楽しかった。
小学6年生の時、ついに小遣いで変面の衣装セットを買った。今思えばおもちゃのような物だったが、その時のうれしさときたら。それを使い、スポーツ施設で2、3回、ショーをさせてもらった。全部独学だったがお客さんの反応も良く、酔いしれるような心地良さを味わった。大道芸をすること自体が好きになった。
一方で、「変面熱」は冷めていったという。「変面は、やってる人がけっこう多くて埋もれていくようで、他の大道芸の方が楽しくて受ける気がしました」と、ジャグリング・バランス芸などに熱を上げるようになった。
一時は冷めたが再燃
昨年、王さんの門弟に
再び目覚めたのは、昨年4月に名古屋市であった大道芸博で。演者の一人として楽屋に入り、日本人の変面師と出会った。話が盛り上がり、久しぶりに変面ショーも見て「迫力がある。お客さんの反応が違う。やっぱりいい」と。すぐ、オーダーメイドの衣装を中国から取り寄せた。
ところが、技を試すとうまくいかない。本格的な物は簡単ではないからだ。それで、SNSを通じて知っていた王文強さんを思い出した。王さんは中国・安徽省生まれで、本場の四川省で変面の技を受け継いだ第一人者。2014(平成26)年に来日し、(一社)アジア芸術文化促進会会長や中国変面芸術センター代表などを務める。昨年8月、弟子入りした。10人ほどの門弟のうち10代は真行さん1人。またも新調した衣装を手にすると、「やっぱり、簡単な物ではない」と分かった。
筋肉に染み付くまで型を稽古
今年合格
2カ月に1度、千葉県の教室に1泊2日の指導を受けに通った。ひたすら衣装無しでの基礎の練習。扇子の扱い、見栄の切り方、足の運びや指の形などたくさんの型を、体や筋肉に染み付くまで特訓した。今年1月、「次から衣装を着けて稽古(けいこ)ね」と言われた。「まだまだ中間地点だけど、すごい達成感でした」。2月から稽古は毎月に。
5月、王さんと2人でステージに立つ双人変面に挑んだ。横浜市で、観客は約200人。それが中間試験だ。緊張の演技だったが失敗なく演じ切り、盛大な拍手を満喫した。王さんから「うまくいったね」と声を掛けられ、1人で演じることが認められる変面師に。教室は9月に卒業する。
今は、東京都や愛知県などでのイベントで技を見せており、今後も出演機会を増やしていきたい。11月1日には三重県津市の県総合文化センターで開かれる第3回日中未来への扉in三重大会(三重県日本中国友好協会主催)のステージに立つ。
同世代に教えたい、中国の人と交流増す
真行さんは、自身も若者に教え、広げる側になりたいと話す。変面への思いや意欲を聞いた。
―変面の知名度やお客さんの反応はどうですか?
よく知られていますが、生で見たことがある人は少ないです。顔が変わった瞬間の拍手が大きく、今から顔を変えるぞ、という時はこちらも楽しいです。
―これからは自分も教える立場になりたいとか?
中国の伝統文化を広げたい。グッズが手に入りやすく取り組む人は多いので、そこから正統な物に入っていってもらいたい。
―本物は違いますか?
基礎を身に付けている人は歩き方を見た瞬間に分かります。見栄の切り方、表現力など、根本から違います。お客さんの集中力も変わってきます。僕も、本物の芸能としての変面の価値を高めていきたい。僕は若いから、同世代の人にも来てほしいです。
―ところで、中国語は?中国の人の前でも変面を?
中国語は3回ぐらい挑戦したけど、毎回挫折(ざせつ)です。難しい。変面をしてると中国の方との交流も増えて皆親切にしてくれるから、できる方がいいんですが。中国の人の前での変面は緊張しますよ。でも王さんから学んだから胸を張ってやれます。これからも頑張りますよ!

(5月、岐阜県八百津町で)




