「中国語を学ぶのは何のためなのか」をしっかり心に刻み、国際舞台で思いっきり活躍してほしい

2025年11月1日号 /

友好訪問プロフィール

関東学院大学人間共生学部教授

山田やまだ留里子るりこさん


1994年9月~1995年3月、北京大学中文系高級進修生。1997年9月、広島大学大学院文学研究科中国語中国文学専攻博士後期課程修了、博士(文学)。1998年、下関市立大学専任講師。2000年、下関市立大学准教授。2007年、明星大学人文学部教授。2013年、長崎外国語大学教授を経て、2016年より関東学院大学教授。専門分野は現代中国語文法、中国語教育、日中対照言語学。研究テーマはICTを活用した中国語教育研究。

大学生訪中団

日中友好大学生訪中団へ学生が参加するようになったきっかけは、同じ(公社)日中友好協会主催の中国語スピーチコンテストです。当時山口県の下関市立大学で教鞭をとっており、中国語を学ぶ学生が年々増える中、彼らの中国語力の向上と中国への理解を促すために、まず学内でのスピーチコンテストを企画実施しました。その後、全国大会に出場したいという学生がおりましたが、全国大会に出場するには県大会を経るというステップが必要でした。しかし、当時山口県では県大会が実施されておりませんでした。その事実を知ってから、県大会を実現するために、下関市日中友好協会へ協力のお願いに何度も足を運び、スピーチコンテストの意義を精一杯語り、晴れて山口県大会が開催されました。その第一回山口県大会で優勝した学生(高田信暁君)は、第16回全国大会でも「中国大使賞」という素晴らしい賞を受賞し、さらに中国政府の奨学金を獲得し中国留学を果たすこともできました。留学を終え帰国した彼は、とても大きく成長した姿を見せてくれました。そうしたことが契機となり、もっと多くの学生に中国に行って実際の姿を見てほしいと強く思うようになり、訪中団への参加を積極的に勧めています。学生も帰国後必ず発表報告を行い、中国の魅力をたくさんの方々へ伝えています。

本学部プロジェクト科目を北京大学中文系にて実施
前列右から3人目が山田先生

神奈川県日中の講座講師らを招く

書法、中国茶芸、水墨画、太極拳等の講師の方々には毎回素晴らしい内容で講演していただいております。特に私が担当する「中国語圏の生活と文化」においては、写真や動画だけでは伝わりにくい個所を実際に実習していただき、中国への理解がぐっと深まっていき、中国に行ってみたいという学生がたくさん増えてきました。色々な理由で中国に行けない学生もいるので、これらの講演会は素晴らしいチャンスでもあるのです。

テキスト『探究的に学ぶ中国語』を発刊

これまでたくさんの中国語テキストを作成してきましたが、この度は文科省の科研費をいただきました。本著は、中国語を学びながら世界的な課題にも目を向け、課題解決ができるように構成しました。神奈川県日中では青少年訪中団の事前説明会で高校生20人に配付されたというお話を伺い、とても光栄に思います。日中の交流会の場などで、本著に取り上げられた内容(SDGs)を参考に、話題として取り上げて頂けたらと思います。

探求的に学ぶ中国語 ~SDGs×連環画~
B5判 72ページ 駿河台出版社 2,750円(税込)
ISBN:9784411031723

中国語や中国文化を学ぶ学生に

中国語に出会ったこと自体が私の人生の大きな宝です。若い人たちにそれを伝えたいという思いで日々を過ごしています。日中の歴史や文化を知ることは、日本という国が、これからどう進んでいくべきかを知ることにもなります。「日本と中国は絶対に友好を結ばなければいけない」、これは私の恩師の信念です。私はこの思いを教育の場においてどのように開花させていけばよいのかを考えながら歩んできました。そうした意味で、学生には中国語を学ぶのは何のためなのかをしっかり心に刻み、国際舞台で思いっきり活躍してほしいです。

(聞き手:神奈川県日中友好協会専務理事 三浦修)