新たな旅の物語

コロナ禍と暑さで厳しい夏でしたが、皆さんにとって何か新しい出来事はありましたか?

私はこの夏から、11月に東京・国立能楽堂で上演する日中国交正常化50周年を記念した舞台稽古が本格的に始まりました。今回は「西遊記」の物語をテーマに、「日本舞踊と変面」の日中伝統芸能を新しい切り口で応用した舞台になります。

ご存知の方も多いように、「西遊記」は中国で生まれ、日本は勿論、世界でも親しまれている取経の「旅の物語」ですが、思えば人生もまた旅です。

仲間やパートナーと共に、様々な困難(妖怪達)と出会い、戦い・迷い・葛藤しながらも、自分の目的地(西天)を目指す。そんな旅の中で、「自分は何者なのか、どこを目指しているのか」と誰しもが彷徨いながら生きている、そんな旅というテーマを今回の舞台で表現できればと思っています。

両国の伝統芸能に加えて、ベテラン声優による巧みな言葉表現(語り)と、唯一無二のメロディを生み出す演奏(パーカッション)の融合。また会場は「神が宿る」とされる能舞台。果たしてどんな旅になるのでしょうか? まだその全体像は未知数ではありますが、それぞれの専門性を時に主張し、また時に融合しながら、刺激的な景色を見させてもらっています。

私にとっての「西天」である、「多くの方に舞台を通して日中の伝統芸能を楽しんでもらい、両国の文化交流に貢献したい」という終わりがないゴール目指して、今後も一歩一歩、進んでいきたいと思います(今1番苦労していることは日本語でのセリフ読みです……)。

文◎王文強(おう・ぶんきょう 変面役者)

〜能舞台で繰り広げる「西遊記奇聞」〜『みんな迷い子』 公演情報は上の画像をクリック