世界最大規模の北京大興国際空港が開港 ― 新時代を象徴する「空の玄関」 ―

2020年1月1日号 /

世界最大規模を誇る北京大興国際空港が2019年9月25日に開港し、10月1日の建国70周年に華を添えた。交通インフラなども含めると、総事業費4500億元(1元=約16円)という超ビッグプロジェクト。北京市内と新空港を結ぶ高速鉄道と地下鉄も同時開業し、空港周辺では高層マンション建設が進む。開業まもない10月中旬、現地を訪れ、アクセス鉄道に乗り、新空港を歩いてみた。(文・写真 内海達志)

 

高速鉄道も延伸を予定

世界的建築家ザハ・ハディド氏による吹き抜けを多用したデザイン

新空港への高速鉄道は、北京西駅から乗車する。9時10分発にギリギリ間に合ったのだが、これを逃すと1時間以上も待たされるところであった。あとで時刻を調べると、現在は1日12往復のみ。空港アクセス鉄道と呼ぶには不便なダイヤだ。

北京市街を抜けると、荒涼とした沿線風景が続くばかりで、何もない原野に巨大空港と高速鉄道を作ったことが分かる。唯一の途中駅である北京大興駅の周辺だけビル群が現れたが、乗降客は少ない。

所要時間は約30分のはずだが、大興機場(空港)駅には15分ほど延着した。空港紹介の前に、高速鉄道の空港アクセスだけではない重要な使命について触れておこう。同路線の正式名称は「京雄城際(都市間)鉄道」。「京」が北京なのは説明するまでもないが、「雄」は河北省保定市の雄安である。

元々はただの田舎町にすぎなかった雄安まで高速鉄道が延伸されることになったのは、習近平国家主席が2017年、ハイテク産業を集積した経済開発区「雄安新区」の建設を発表したからだ。地図上の雄安の位置をみると、北京、天津とほぼ正三角形を成しており、その三辺を高速鉄道が結ぶこととなる。大興機場―雄安間は2020年末までに開業予定だ。鉄道と空港ターミナルは直結しており、地下のホームからエスカレーターで上階のターミナルへ行ってみると、斬新なデザインと広々とした空間に目を奪われた。

本格稼働は少し先に

流線形の外観が目を引く巨大なターミナルビル

設計を担当したのは、優美な流線形を得意とする名建築家ザハ・ハディド氏。日本では、新国立競技場の設計案が却下され話題となった人物である。空港を俯瞰すると、ヒトデの形にみえるとのこと。

地上5階、地下2階(一部未使用)で、総面積は約140万平方メートル。成田空港第1~3ターミナルの約1・5倍ものスケールを誇る。

広く感じるのは、空きテナントが目立ち、利用者が少ないせいもあるだろう。最新の自動チェックイン機の導入により、カウンター業務を軽減し、待ち時間の大幅短縮を実現した。しばらくは宝の持ち腐れといった状況だろうが。

現状、就航している航空会社は、中国南方航空、中国東方航空、河北航空、首都航空、中国聯合航空、吉祥航空のわずか6社。当然、発着便数も限られており、この閑散ぶりでは、高速鉄道の本数が少ないのも納得だ。もちろん、地方の赤字空港のような状況が続くはずはなく、2025年の本格稼動時には60社以上が乗り入れ、4本の滑走路も8本に増設される見込みだ。

新空港が計画されたのは、航空需要な伸び続けるなか、首都国際空港が3度の拡張にもかかわらず、キャパが飽和状態になったためである。年間の利用者数は1億人を超えており、いずれは大興空港もその数に匹敵するものとみられている。「ガラガラで使いやすい」と感じるのは今だけかもしれない。

 

地下鉄機場線も好アクセス

カラフルな地下鉄車両

帰路は地下鉄10号線の草橋駅行きの地下鉄大興機場線に乗車した。運賃は高速鉄道の25元に対し35元。地下鉄にしては割高な印象を受けるが、1時間に数本の運転本数が確保されているうえ、最高速度は160キロと高速鉄道に引けを取らない。

一部は地上区間を走るが、とても通勤・通学客を見込めるような感じではなかった。もとより途中駅は大興新城駅ひとつしかない。

約20分で草橋駅に到着。10号線の駅は離れており、その点は少々面倒に感じる。とはいえ、渋滞知らずの鉄道の利便性は非常に高いと思う。参考までに、首都国際空港からの最短の移動方法を紹介しておこう。北京西駅、草橋駅とも、頻発している首都機場線に乗車し、三元橋駅で下車。地下鉄10号線に乗り換え、前者は双井駅で再度乗り換えになるが、後者はそのまま行ける。

目的地までの駅数はともに18。所要時間は待ち時間も含めて1時間強といったところだろう。感覚的には、特急を使わない成田―羽田間の移動とそう変わらない。日本からの直行便就航が楽しみだ。