「端」はどういう意味?

2026年7月1日号 /

「端午」の話から

7月のこの時期に「端午」の話をするのは、ちょっと季節はずれの感じがしないわけでもないが、実際日本の「端午の節句」は5月ではあるものの、中国で祝われる「端午節」は日本のそれよりも1月ぐらい遅れて陰暦の5月なので、太陽歴では6月になる。今年は6月19日だった。今回は「端午節」をネタに、「端」の意味を探ってみたいと思う。

「端」は、私たちが普段使っている「発端」の言葉で分かるように「始まり」の意味がある。「端午」の「端」は、「始まり」つまり「最初」の意味である。「端午」は元々「仲夏の端五」と言い、「仲夏」という修飾語があった。「仲夏」は「陰暦の5月」を指すことから、「5月最初の五の日」という意味だった。「五」は「午」と同じ発音なので、のちに「五」に取って代わって「午」を使うようになった。言い換えれば、「端午」は5月の最初の5日のことである。

北京旅行をされた方はおおよそ天安門を訪ねるだろう。その後は天安門を潜って故宮へ行く。しかし多くの人は、故宮の入り口の広大さは分かっても、その名前、「午門」のことは気にしないかもしれない。ガイドさんの話を聞いて初めて知ることになるだろうが、その天安門と午門の間にもう1つの門があることに気づくだろうか。これが「端門」である。この「端門」と「午門」はもう1つの「端午」の組み合わせになる。

「端門」については、色々な説があるが、皇帝の住む宮殿の南向きの正門というのが通説である。これを宮殿の最初の門と解説しても良かろう。その後ろ(北側)の「午門」は、現在では故宮の正門となっているが、この「故宮」というのは、昔皇帝とその皇族が住むお城、つまり「内城」の中央の宮城にあたり、正しくは「紫禁城」というもので、その正門が「午門」であった。ここの「午」は方角、時刻を表す干支の「午」の南、正午の意味である。

日本語の「端」

日本語には音読みの「たん」と訓読みの「はし」がある。音読みは主に熟語構成に使われ、冒頭で述べた「発端」を初め、「一端」、「末端」、「極端」などがある。これらの使い方は中国語にも共通している。他には「先端」という語はあるが、これは中国語の使い方とちょっと違う。まず、現代中国語には〝先端〟という漢字表記そのものの語はない。「先端」の意味する「物の一番先の部分」は、中国語では別の漢字、例えば〝顶端〟、〝头儿〟(頭)などで表されている。そして、「時代・流行の先頭」の意味は〝尖端〟で表されている。日本語では「尖」という漢字が当用漢字から外されたことから、代わりに「先端」を使うようになったが、元々の漢字表現は、「尖端」だった。

訓読みの「はし」は1つの語であるが、基本的には、「縄の端」のような、「物の末の部分」の意味で、他に、「部屋の端」や「布の端」のような「端っこ」、「切れ端」の意味である。自分には、慣用的な使い方である「端から」に惑わされたことがあった。例えば、「聞く端から忘れてしまう」などのような使い方は、日本語独特な使い方で、ちょっと難しそうであるが、そろそろその年齢に近づいているかもしれない。

語学の勉強は、「端から端まで」、すべて知り尽くすことが求められるだろうが、まずは何らかの「発端」を作ることが必要かもしれない。

(しょく・さんぎ 東洋大学元教授)