「HSKの限界と留学の意義~中国語習得におけるインプットからアウトプットへの転換~」松井花珠(上海交通大学)

留学前の学習スタイル

大学では中国語専攻として、平日5日間毎日中国語の勉強に取り組んできました。大阪大学の教育方針として、1年生のうちは教科書を徹底的に何度も繰り返し読むことが重視されており、その反復学習を通じてピンインや発音を身体に染み込ませていきました。毎日の積み重ねによって着実に基礎力を高め、留学前にはHSK5級を取得することができました。

大学1年次はこのチャイニーズ・プライマーという教科書の文章を暗唱できるまでひたすら読み込んでいました。

中国語学習を始めたころは、単語や文法のインプットに時間を割いていました。

留学で直面した「コミュニケーションの壁」

HSK5級を取得したことで、留学前は「自分はある程度中国語ができる」という自信を持っていました。しかし実際に留学先へ来てみると、思うように話せない自分に直面しました。日常のあらゆる場面で言葉が出てこず、聞き取りも追いつかないことが多かったです。

この経験を通じて実感したのは、検定試験で高得点を取ることと、実際にコミュニケーションがとれることは、まったく別のスキルであるということです。英語学習でも通ずることですが、「読み書き」と「話す・聞く」には大きなギャップがあると思います。HSKは確かに語彙や文法の力を証明してくれますが、瞬時に言葉を出し、相手の話を耳で理解するという運用力とは別物なのだと、身をもって学びました。

留学中の学習スタイル、授業での学び

授業では文法や単語を体系的に学んでいます。留学前に積み上げた基礎があるため、新しい語彙や構文も比較的覚えやすくなっていると感じます。授業は教科書を通して知識の整理と定着に役立っています。日本の大学の授業と比べると、少人数でのディスカッションやスピーチなども多く、インプットとアウトプットの両軸で授業が行われていると感じています。

後期の時間割です。前期は語学が中心でしたが、後期からは中国語を利用した中国社会や文化の学びを求め、金融やビジネスの授業を履修しています。

授業外での実践

授業外では、特別に教材を使って勉強するというよりも、現地の友人との日常会話を通じたアウトプットの練習を中心に取り組んでいます。留学生活は話す機会に溢れており、食事の場でも、移動中でも、常に中国語を使う環境に身を置いています。これは日本国内での学習環境と大きく異なる点であり、留学ならではの圧倒的なアドバンテージだと感じています。

留学半年でのHSK6級取得

留学から半年が経過した時点で、HSK6級を取得しました。日々の授業によるインプットと、友人との会話を通じた実践的なアウトプットを組み合わせた学習スタイルが、短期間での語学力の向上に繋がったと感じています。しかし、中国語で流暢に会話するという点ではまだ課題があるため、残りの3か月でその課題を克服できるよう頑張りたいです。

今後の留学生活について

留学前の「反復によるインプット学習」と、留学後の「会話によるアウトプット練習」この二つの段階を経て、ようやく言語学習の基本を理解することができるようになってきたと思います。留学半年でHSK6級を取得できたことは、アウトプットの重要性を示していると感じます。一方で、検定の取得や言語習得を言語学習の目的にするのではなく、「言語を利用して自分が何を行うのか」ということが重要であり、言語学習において忘れてはならない視点であると考えています。

今後は、引き続き友人との会話を通じてアウトプットの質を高めるとともに、授業で得た知識を積極的に日常会話の中で使っていくことを意識したい。留学の残り期間を最大限に活かして単なる言語学習に留まらず、言語学習を通して本質的な学びをしていきたいです。