「潜入レポート！青島大学の留学生活①」金子　絹和子（青島大学）

北京電影学院の時と同様、10月のレポートでは今回も大学の様子を記していきたい。青島大学は総合大学なので、以前留学していた北京電影学院とは全く異なる。

想像通りの中国のマンモス大学だ。知名度で言うと「青島の中では有名だが全国的にはあんまり…」とここで出会った中国人の友人たちはよく自虐するが、汉语班に関してはどこの大学もそこまで大差がないので、偏差値などは特に気にする必要はないと思っている。留学生が青島大学を選ぶ理由はロケーションの良さ一択だ。

 

 

青島の留学生とクラス分け

青島大学の汉语班は初級クラスが4つ、中級クラスが2つ、高級クラスが1つある。

それぞれのクラスは10〜15名程度で構成されている。私が所属する高級班は16名おり、ベトナム人5名、日本人5名、ロシア人3名、イギリス人2名、韓国人1名といった内訳になっている。

ネットの情報を見る限り韓国人留学生が多いと想像していたが、それは“汉语热”と呼ばれる中国語学習ブームがあった一昔前のことらしく、現在はベトナム人が圧倒的に多い。なんでもベトナムでは青島の景色が人気のようだ。

 

高級クラスの学生は中国語学習歴が3〜6年程度、多くが大学既卒で仕事の経験もあり、そのためか平和な雰囲気が漂う。

また青島市と山口県下関市が友好都市を結んでおり、下関の交換留学生が多く在籍していて寮では日本人もよく見かける。

 

クラス分けは、学校が始まる前にWeChatのグループチャットでHSKの成績と希望クラスを申告するシステムだ。

HSK5級以上を取得していると高級クラスを勧められる。また最初の1週間はお試し期間なのでクラス変更も可能だ。クラス分けテストがないので、中国語のレベルにかなりのばらつきがあるのが授業中少しネックである。

 

授業内容

 

 

 

時間割や先生はもちろんクラスによって異なるので、私が述べるのは高級クラスの実態である。授業は月〜金曜まで、基本的に午前中で終わる。

毎日中国語の授業が2コマあり、高級クラスの授業は「総合」「阅读」「写作」「口语」の4つで構成されている。

テキストに関しては「阅读」は北京大学のもの、他は北京語言大学のものを使用。青島に来る前から「北京で学んだテキストと同じだったらどうしよう」と少し心配していたが、被ったのは「写作」のテキストだけだったのでまだ良かった。

「写作」の先生に聞くと受講するかどうかは任せるということだったが、1年前に学んで記憶が薄れているところもあり復習がてら引き続き受講している。

 

先生はどの授業も長年留学生に中国語を教えている熟練の先生だ。高級クラスは「総合」と「口语」の先生の要求がとても高く、膨大な宿題と先生の圧で今月はみんな疲弊しきっていた。

特に「口语」は授業中に発言する機会が多いのは嬉しいが、先生は私たちに将来仕事でも通用するような少しかしこまった表現を身につけてほしいようで、発言するたびに先生に文法や単語をとことん直されるので毎回苦い思いをしながら授業を受けている。

またこの2つの授業は定期的に確認テストが実施される。「口语」のテストでは5分間のスピーチをしなくてはならず、準備段階から中国語の表現だけでなく内容についても厳しく指導され、4回も原稿を一から書き直してやっとOKをもらうことができた。

「阅读」と「写作」については、テキストを読んだり各々で問題を解いたりする時間が多く、急に当てられて発言するといった機会が少ないため、比較的リラックスして授業を受けることができる。宿題が少ないのでこの先生たちは同級生に大人気だ。

 

 

 

午後は中国文化を学ぶ選択授業があり、今学期はカンフー、古琴、古筝が開講している。学期によっては茶道なども学べるらしい。

私も最初は受講していたが、最近は宿題に追われる日々で足が遠のいてしまっている。

 

青島での2ヶ月を振り返って

青島2ヶ月目にして、北京が恋しくなっている。北京にいた時はよく文句を垂れていたのに不思議なものだ。

やはり青島は北京とは異なり、美術館や展示、イベントが圧倒的に少ないので、そういった面でも比べてしまっているのだろう。

北京にいた時は中国語と映画を同時に学びつつ、週末にはそういった展示を見に行ったりしていたが、今は毎日中国語だけを詰め込む生活になってしまっているので少し物足りなく感じるのも仕方がない。とは言いつつ、青島には青島の良さがもちろんあって、歩いてすぐ海や自然を感じに行けるのはとても嬉しい。

11月は中国語とは別に、何かしらアクションが起こせそうなのでそれに期待したいと思う。