江子正レポート③

最近の状況

いよいよ修士課程の最終段階に入りました。よい学位論文を書けなければ博士進学、将来的にも問題が生じますので、この三ヵ月間は全力的にそれに対応しました。幸い先週初稿を完成し、十万字の論文を仕上げました。

そして、英国日本研究協会(BAJS)での学会発表を申請することや、投稿論文の準備などにも忙殺されました。今年からは博士進学することになりますので、いろいろ事前から準備しないといけない事項があり、今までになく充実に過ごしました。

もちろん、バイトなどをせずこれらのことに集中することができた前提は、やはり貴協会の奨学金のおかげだと思いまして、改めて感謝の意を持ちながら、その感謝をいつまでも忘れてはいけないと思います。

研究

修士論文のタイトルは「パリ講和会議と『センシティブ・パートナー』日本―『理念的外交』としての人種平等提案」になっております。論文は、三部に分けて、第一部では、人種平等提案が出された背景に自分なりの解釈を提示し、先行研究で強調された背景としての移民排斥問題ではなく、明治維新から日本が西洋列強との平等を追求してきた延長線にあると主張しました。さらに、人種平等提案の発案・形成過程にも今までにない程度で明らかにしました。第二部では、人種平等提案がパリ講和会議での提出や、国際連盟委員会で諸国の反対あるいは賛成(特に中国)について分析し、最後の第三部は、人種平等提案をめぐるいくつかの解釈問題に関して自分の考えを示しました。

論文提出までまだ何日かありますから、論文付録などをできる範囲内で準備し、より完成度の高い論文を仕上げたいと思います。

深夜の論文執筆

 

京都大学附属図書館で調べた資料

 

パリ講和会議開催される前原敬首相の談話

関心事

前回レポートを提出したとき、自民党総裁選に関心を持ちましたが、最近はやはり野党第一党立憲民主党の代表選挙などをフォローしました。立憲民主党にとって今は最も厳しい時期だなと思いました。

これまでのリベラル指導体制のままでは、風のない環境の中といっても総選挙で大敗を喫して、民意調査ですら維新に抜かれて(一時的なことだと考えますが)、最近はいわゆる「政策立案型」といった中道路線への転換を狙っていますが、民主政治において最大野党として批判をせずいわゆる「建設的」にすること自体にはやや違和感があります。最近は修正しつつあり、バランスを取っていると見えていますが、これもまた国民に右往左往的なイメージを与え、大いに心配に値すると考えました。

成熟した民主主義は、二大政党がなければならないということは、聞き古した常識のような存在になっていますが、なかなか今の日本では達成されておらず、大いに残念だと思っております。最近は、国民民主から都民ファーストの会や維新との連携を模索していると聞いておりますが、すでに保守与党があった以上、第二党もリベラルでなければなかなか正道ではない気がしました。やはり包括政党(Big tent)の自民党が分裂し、リベラル派が立憲らと合流し新党をつくり、保守派が国民、維新らと新しい保守政党を作るしか、二大政党制は期待できないかと思いました。

もちろん、以上は外からの視点で見た日本政治の構造問題ですが、やや日本の現状と伝統から離れて論じた面もありまして、理想論だとよく自覚しております。

とはいえ、どの国にとっても、あるべき姿の、健全な政治体制が国民一人一人にとっても大変重要な問題だ、ということは間違っていないと確信しております。

 

これから

これからは順調に博士課程に進学することが最重要です。修士課程前に作成された目標は今全部達成しましたが、博士進学ができたら、以下の四点を中心に計画を立てています。①日本語会話力の精進と学界人脈の構築 ②欧米などでの資料調査・学会報告を積極的に行うこと ③研究の業績を積極的にあげること ④非常勤講師の経験を蓄積すること、といった四点から構成しています。最終的に、博士課程を三年間で卒業することを目指しております。

コロナの状況が再び厳しくなっております。日中友好協会の皆様と対面で会うことを期待していましたが、現時点で実現する見込みは残念ながらなさそうです。にもかかわらず、この一年間は大変お世話になっておりまして、将来的になにか活動などがあればぜひ参加させていただきたい、という思いは変わりはありません。