「戦争に屈しないで生きていける人間の強さを映画に込めた」
ドキュメンタリー映画『花の夢―ある中国残留婦人―』を撮った
東 志津さん 映画監督
3年がかりで撮りためたフィルムがこの5月、長編処女作『花の夢』として完成した。残留婦人・栗原貞子さんの日常から戦争の記憶を現代に蘇らせる。「豊かな時代に、まだ“残留婦人”と呼ばれる人たちがいることがショックだった。誰にも知られないままではいけないと感じた」
撮影の大半は栗原さんのアパートの室内。愛猫との静かな暮らしを淡々と描写した。「感情や怒りをぶつけるだけでは何も伝えられない。見る人が栗原さんの生活に身を寄せて1対1で向き合える構成を心掛けた」
戦争の悲惨さを突きつけながら、過酷な状況を生き抜いた女性たちの姿が深い感動を呼ぶ。「残留婦人の歴史は過去の事ではなく、栗原さんたちの命がつながって今がある。戦争なんかに屈しないで生きていける人間の強さを映画に込めた」
自分の目で現地を確かめたいと3年前、中国東北部を旅し、中国が大好きになった。一緒に行った栗原さんは今では実の祖母のような存在。「またいこうね」と約束している。
各地の映画祭などを回った後は自主上映に思いを託す。「知ること、忘れないことが戦争を知らない世代にできる唯一のこと」
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