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「日本と中国」
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小異を残して大同につく
海江田 万里 前衆議院議員、経済評論家

本と中国は共通の漢字を使いますから、お互いに言葉が喋れなくても筆談というコミュニケーションをとることができます。ところが同じ漢字であっても、その意味が日中で異なることがあり、これが思わぬ誤解を生むことになります。
 よく例に出されるのが、中国人の友人ができた日本人が「手紙」と書いて、「今度、手紙を出すからね」と伝えたつもりが、それを見た中国人は「トイレットペーパーなら中国にもあるから…」と怪訝そうな顔をしていたという話です。
 この程度なら笑い話で済みますが、笑えないのが、日本の大手自動車メーカーが中国にクルマを輸出して、その名前を日本名と発音の似た「覇道」にしたときのことです。「覇」の文字は日本語では「覇気がある」などと用いて、前向きで積極的な姿勢を表しますが、中国語では「横柄で理不尽な態度」となり、「覇道」ブランドのクルマに乗ると「他人を押しのけて横柄に道を行く」ことを宣言することになってしまいます。

つて、瀋陽の日本領事館に助けを求めた脱北者の家族を、中国の「武装警察」が阻止した事件がありました。当時私は、民主党調査団の団長として現地を調査し、様々な事実が判明しましたが、問題解決を複雑にしたのは、日本の新聞やTVが小さな子どもを領事館から引きずり出そうとする「武装警察」の姿を何度も流して、その映像が日本人の脳裏に強く焼き付けられてしまったためです。その写真や、画像には必ず「武装警察」の説明が付きます。一般の日本人は「武装」という文字を見るだけで拒否反応を起こし、「中国の凶暴な警官が子どもに暴力をふるっている」との印象になります。
 中国では街のお巡りさんは、拳銃を携帯しません。ロンドンや香港の警察と同じ丸腰です。ところが、大使館や政府施設を警護する警官は拳銃やカービン銃を持つので「武装警察」と呼ばれます。ですから中国人から見れば拳銃を携帯している日本の警官はみんな「武装警察」ということになるのです。

は日本と中国の相互理解に不可欠なのは、最初に違いをはっきりさせることだと思っています。同じ文字を使うし、顔形も髪の毛の色も同じだ、と共通する面を強調して付き合いを始めると、途中で違いが出てきたときに「こんなはずではなかった」と失望や裏切られた思いに変わってしまうのです。日本は「小異を捨てて大同につく」ですが、中国では「求同存異」(小異を残して大同につく)ですから、ここにも日本と中国の違いがあります。

 
 
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