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中国をめぐる先達の箴言に耳を傾ける 藤野 文晤 亜細亜大学教授 日中の政治関係は靖国参拝に端を発した歴史認識問題で完全に袋小路に入ってしまった。日韓関係も同様であり、日本のアジア外交には出口が見えない。この状況を如何に打開するか。枝葉末節の目先の議論にとらわれず、一度冷静に原点に立ち返って考え直してみることが必要なのではないか。3人の先達の言葉に耳を傾けてみよう。 ひとりは、かつて「西安事変」をスクープした著名なジャーナリスト、松本重治氏の言葉である。昭和52年に刊行された古典的名著『上海時代』に次の様な文章がある。プロローグの「私は日米関係の核心的問題は中国問題であるという点を悟った。私は日米関係は日中関係であると考え続けて来た」という部分で、まさに箴言であると言うべきだろう。 ふたり目は著名な評論家、亀井勝一郎氏とかつての陳毅・中国副首相にかかわるエピソードである。亀井氏が1960年5月、日本文学代表団の副団長として訪中した時の話だ。戦前の日中関係について陳毅副首相から次の様な発言があった。「日本軍国主義の弾圧を受け投獄された亀井先生が、日本軍国主義が中国を侵略したことを永久に忘れないとおっしゃる。私たちは忘れたいと考えている。これは良いことです。逆に私達が忘れないと言い、日本側が忘れたいと言うことになれば、これは悲劇です」。今まさにその悲劇が現実のものとなっているのではないか。 3人目は、革命家・孫文の「大東亜主義」演説である。1924年11月、神戸高等女学校での講演の最後に、日本のあり方に対して次の様に提起した。「日本民族はすでに欧米覇道の文化を習得したが、アジア王道文化の本質も持っている。今後世界文化の前進に対して西方覇道の番犬となるのか、あるいは東方王道の干城となるのか、それは日本人が慎重に判断して決めることだ」。一世紀近い歳月を経てなお、この言葉は我々に強く迫ってくる。 |
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